失敗したり、うまくできなかったり。
人間の人間っぽいところが僕は好きです。
3校合わせて学生数は約800人、教職員は90人ほどの学校法人の理事長として、教育と経営を見ています。私自身、教員をしていた頃もあり、今もよく現場に行って授業風景や休み時間の学生たちの様子を見たり、いち職員として学生と話したりします。学生たちは、私を理事長だなんて思っていないはず。新入生歓迎会で、学生と一緒にドッチビーをして笑っているときが僕の「生きてる」ときです。
専門教育の場であることは当然として、うちがずっと大事にしているのは人間性の育成です。特に先行きが不透明な時代になっている今、大切なのは想像力や対応力。それを育むにはいろいろな人と繋がりながら、いろいろな経験をすること。在学中にできる限り、学生の人間性を育む支援をしたいと考えて、子育て支援団体と連携した活動、海外の学生との交流、大自然の中でヨガやカヤックを楽しむ活動なども企画しています。
生きるって、すごくシンプルなことなのに、社会が成長するにつれて自己表現の抑制を求められたり、少し失敗があれば炎上したり、子どもたちまでSNSで苦しんでしまったりしている。カンボジアの孤児院の子どもたちのほうが、すごく明るいです。豊かなはずの日本のほうが生き生きできていない。なぜだろう。何かを忘れてきてしまったのかなと。人間って失敗するものだから、どんどん失敗したらいいと僕は思うんです。そういう人間の人間っぽいところが僕は好き。失敗したり、うまくできなかったり、そこからどうするか、どう支えるかです。
今の自分の関心事は、カンボジアに医療系の学校を開いて、日本の医療サービスのクオリティを伝えることです。日本の学生との交流も生み出すことで、海外の学生の意欲に触れた日本の学生も前向きになれる。海外とつながり、海外の方とも一緒になって、日本を盛り上げていくこと。それが僕の志です。
薬学部を卒業後、父が二代目理事長を務めていた学校法人未来学編に入職。教員を3年務めた後、事務局へ異動し、企画や学生募集に従事。途中、同志社大学大学院で学び、MBAを取得。事務局長を経て、2020年、理事長に就任。経営する医療・福祉系専門学校3校のひとつ「高崎歯科衛生専門学校」のブランディングプロジェクトをパラドックスと実行。「変わらなきゃいけないという認識ばかりだったが、変えてはいけないものに気づくことができた。パラドックスさんは僕たちと想いを共有して、心に届く形にしてくださいました」。