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生きてるうちに成し遂げられないくらいの、
そういう高い理想が楽しいんじゃないかな。

石坂産業株式会社 代表取締役 石坂 典子

創業55年目になる産業廃棄物の中間処理の会社の2代目として、毎日をフルに生きています。私が社長になった20年前、この仕事は今以上に理解されておらず、地域の方々からは、会社が存在することさえ反対されることもありました。どうしたらこの仕事と働いている人の社会的評価を向上させられるか。「産業廃棄物をリサイクルするってかっこいい」と、小学生が憧れるようにしたい。それが私の使命になって、今も続いています。だいぶ価値が知られるようになってきたとはいえ、もっと社会の構造や、街づくりのあり方を変えていきたい。モノを「つくる」という上流段階から、廃棄され、資源として再生されるまでを考えて設計する。そんな持続可能な循環型のスキームをつくりたいと思っています。

パラドックスさんは、当初、ただ制作物を依頼していた私たちに、何を目指すのか、どうありたいのかと逆に問いかけてくださって、とても刺激になりました。理念の策定や、それを浸透させていくプロセスも手伝ってもらったり、今ではプロジェクトを共同で進めるパートナーにもなって、「ゼロ・ウェイスト(ごみをごみにしない社会の実現)」を目指す地道な活動にも関わってもらっています。パラドックスさんと一緒に考えた「自然と美しく生きる、つぎの暮らしをつくる」というミッションは幅広い人や企業を巻き込むことができる大きなフレームです。そして、「ここで終わり」というゴールがない。そこがいいと私は思っています。自分の会社だけで終わるようなことや、自分が生きているうちに成し遂げられるような簡単なゴールなら「目標」でいいと思う。高い理想を掲げて、それを外の人の力も繋いでみんなで考える、「関係人口」が多い会社でありたい。簡単にできないからこそ面白くて、高い理想だからこそ楽しいんじゃないでしょうか。

今までは私自身が前に立って声を上げて発信してきましたが、これからは若い人たちが前に出ていく会社にしていくために、人を育てることに力を入れています。私が創業者から受け継いだ想いや、守らなければならないものも次の人に伝えて、任せていくこともこれから10年の私のテーマです。

石坂 典子

石坂産業株式会社 1967年創立。
「Zero Waste Design」をビジョンとして掲げ、産業廃棄物を徹底的に分別分級することで再資源化する技術を磨き続けている企業。産業廃棄物処理にとどまらず、埼玉県入間郡三芳町の自社の敷地で環境教育の体験の場「三富今昔村」を運営。自社農園「石坂オーガニックファーム」で土づくりや食育にも取り組む。

生き様、様々。
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