大丈夫。けっこう世の中は、
見てくれている。
「グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する」。長期ビジョンを社内でそう定めたばかりのとき、世界はCOVID-19というグローバルな医療課題に直面しました。世界中の多くの医療機関が医療提供体制を見直すことになり、生体情報モニタや人工呼吸器などをつくっている私たちにも大きな影響がありました。急速に需要が高まる中、部品が思うように確保できず、製品の増産が難しくなりました。また、各国からの要請を受け、出荷アロケーションに難しい判断を迫られました。社長以下、経営で徹底して倫理的なアプローチを取ると決め、市場の大小ではなく、感染状況が悪い国を優先させました。グローバル化をさらに強化していきたい当社にとって、世界と向き合う姿勢を改めて考えなおす機会となりました。
私自身は2018年から立ち上げた経営戦略チームの一員として、ビジョナリーな社内のメンバーと共に、何百時間と議論を重ねて長期ビジョン策定に携わってきました。策定したビジョンを国内外のメンバーやステークホルダーに伝わるようにパラドックスさんにもお手伝いいただき、言葉や映像として、丁寧に紡ぎ上げることができました。そのプロセスを通じて、私自身、自分の志と会社のビジョンが完全に合致した実感があり、今、そういう状態で仕事ができていることを幸せに感じます。
決して私は、順当なキャリアを歩んできた人間ではないんです。学生時代から親や周囲に迷惑ばかりかけ、日本での就職活動も全くうまくいかず、人と違うキャリアを目指そうと中国の小さなアパレル企業に就職しました。対日ビジネスの営業として、6年間、高度成長期の中国の勢いの中で修行させてもらいました。その後、日本光電の上海の法人に現地採用で入社し、そこで6年、中国人メンバーと働いた後、本社に異動、日本に帰国という変わった経歴です。だから思います。どんな亜流を歩んでいたとしても、目の前のことを本気で頑張っていれば、けっこう世の中は見てくれていると。人生のいくつもの場面で私を引き上げてくださる方がいました。会社や部署は離れても、その方たちにずっと、自分の成長を報告し続けたい。それが自分を動かしているのだと思います。
日本光電工業株式会社 1951年設立。
医学と工学の接点を研究することで、世界初、日本初の医療機器を数多く生み出してきた医療機器メーカー。国内外のグループ企業で6,000人以上が働くグローバル企業。東証プライム市場上場。新長期ビジョン「BEACON2030」を策定し、2021年からPhase Ⅰをスタート。データを用いた価値創造や、さらなるグローバル企業への変革を目指す。