向かう方向が生み出せたとき、
みんなが盛り上がる。あの空気が好き。
いい提案ができたときの空気感ってあるじゃないですか。もう満場一致で「いいですね」「これでいきましょう」みたいな。あの空気がめちゃくちゃ好き。「こういうこともできそう」と未来の話もいっぱい出てくる。あの空間が大好きというだけで、僕はデザインをしているのかもしれないです。最初にその体験をしたのは仕事でもなく、地元の友だちの結婚披露宴の招待状や会場の装飾をデザインをしたときです。22歳の頃で、デザインはまだ拙かったはずですけど、僕の提案を友だち夫婦が本当によろこんでくれました。
パラドックスには、僕は中途入社です。大阪の2社でデザインやブランディングの経験を積んで、結婚もして子どもが2歳になった頃でした。次のステップを考えていたら、自分が気になっていたパラドックスが東京でアートディレクターを募集していたんです。その募集をみたときに、「あれ? これかも」と思って家族に相談したら、妻の仕事も東京勤務ができるということで、「いいんじゃない?」ということになった。だから子連れで東京に来たんです。2歳だった子が今6歳だから、気づけばパラドックスでもう5年目なんですね。
パラドックスのブランディングで最初に生まれてくるのは言葉だと思うんです。デザインも言葉をめちゃくちゃ大事にする。そこに大事なものがぎゅっと詰まっているから。でも、セッション途中から僕が加わるときは、みんながうんうん考えているときに、「こんなイメージが湧いたんですけど」とビジュアルを出したりもするんです。そうすると、その場がさらにワクワクした感じになったり、それが刺激になって考えが進んだりもする。脳の違うところを活性化するのも、アートディレクターの役割だという気がします。 要は、向かう方向を僕はつくりたい。こうなったらもっといいよなっていう、人や企業の想いの先の世界を描くと、それって向かう方向になる。パワーになる。いいデザイン提案ができて、みんなが盛り上がるときって、そういう矢印が皆さんに見えたときなんじゃないかなと。やっててよかったと思えるあの瞬間が、自分の生きてるってことなのかなと。そのために仕事もプライベートも頑張ろうと思います。もっと世の中を相手にベクトルをデザインしていきたいと思っています。
大阪でのデザイン会社・ブランディング会社勤務を経て、2019年、パラドックスに中途入社。多くのプロジェクトにアートディレクターとして参画し、デザインを手掛ける。学校法人未来学園 高崎歯科専門学校のプロジェクトではビジョンを表現する音楽やコンセプトムービーまで、沖縄の泡盛「菊之露」のリブランディングでは新商品のパッケージデザインやCM制作をも手掛けるなど、アートディレクションの幅を広げている。