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目をつむると見える映像があります。
これが僕の志なんです。

有限会社神村酒造 社長/沖縄県酒造組合 理事 中里 迅志

長女が生まれるときに、出産に立ち会ったんです。病院に駆けつけて、嫁さんの傍らで、生まれてくる子を見ていたら、いのちがキラキラと輝いて見えました。それを見たとき、心の中にスイッチが入りました。自分の生き方をちゃんと貫かないと、一生、この子に頑張れとか、自分のやりたいことをやって生きるんだよって言えないだろうなと思った。それが、勤めていた沖縄の地方銀行を辞めて、妻の親族が代々受け継いできた神村酒造に入ったきっかけです。銀行員のほうが見栄も張れるからと気持ちをごまかしていましたが、泡盛の魅力を語っているときのほうが自分が元気だと気づいていた。お金を数えて貸したりする人は世界中に数えきれないほどいるけれど、600年の歴史のある泡盛を、想いをもって伝えきれる人は、100人いるかいないか。それを僕はやろうと思った。28歳のときでした。それからは仕事泡盛、趣味泡盛、特技泡盛みたいな、幸せな生活をしています。

 2年前、50歳で社長の職につきました。今、17人の社員と汗水流しています。ゆっくり違う目線で物事を考える代表にならないといけないんでしょうけど、社員と一緒に難儀しているのが僕は好きなタイプ。動き回っています。僕には、目を閉じて瞑想すると浮かぶ映像があります。僕がど真ん中にいて、傍に嫁さんと家族がいて、会社のスタッフたちが周りにいて、高々と泡盛で乾杯しているんです。みんな笑顔。すると周りの人が「楽しそう。何やってるの」と覗き込んで輪に加わる。さらにその周りの人が覗き込んで加わって輪が広がる。そんな映像です。4Kのような高解像度で僕には見える。これを実現するのが僕の志。コロナで大変な全国の飲食店を一人でまわってお店を紹介するYou Tubeをやっていたのも、僕にとってはその一つです。

 パラドックスさんは、泡盛をつくる私たちの中にある大事なものに気づく機会をつくってくれた。間違っていないから前に進んだらいいよと勇気づけてくれた。志を強くしてくれたと思います。沖縄を、泡盛でめっちゃ元気な島にしていきます。

中里 迅志

有限会社神村酒造 1882年創業。
沖縄県うるま市にて、オーク樽で熟成させた泡盛「暖流」を中心に様々な泡盛を製造・販売。2021年、販売数量が減少傾向にある「泡盛」を業界全体でリブランンディングする沖縄県酒造組合のプロジェクトにも積極的に参加。業界の使命を「泡盛を、沖縄の誇りにする。」と言語化し、魅力を伝える活動をスタート。「あそび心、盛りだくさん。」をスローガンに、味わい方を自由に創造する楽しさを発信している。

「泡盛」リブランディングプロジェクト概要 https://prdx.co.jp/branding/okinawa_awamori/

生き様、様々。
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